IOMによる元戦闘員に対する社会復帰支援

アフガニスタン
コミュニティ支援活動に従事する元戦闘員
©IOM 2002 - MAF0149

元戦闘員の社会復帰は、紛争から安定した平和への移行に欠かせない要素です。紛争を経た多くの地域で、資源が限られる中、元戦闘員への支援がしばしば見過ごされています。継続的で体系的な支援がなければ、元戦闘員が自分や家族の生活を支えるために反社会的暴力に向かうこともあるのです。

平和が訪れると、元戦闘員はそれまでのアイデンティティーや生活の糧を失います。動員解除された元戦闘員の多くは、市民生活復帰への準備が不十分です。多くは長年戦闘に従事してきたため、生計手段となり得る技術を持っていません。さらに紛争後の脆弱な経済は、増加した労働力を充分に吸収することができないのです。


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IOMのアプローチ

IOMは元戦闘員とその家族には、移住の観点から支援が必要だと考えています。不安定な和平合意を支えるために、紛争直後に重点を置いたプログラムが不可欠です。紛争後は人の移動が増加します。IOMは元戦闘員やそのコミュニティが新しい生活の基盤を築くのを支援して、彼らが国外に流出して避難民となるのを防ぎ、人口の安定化に努めています。

元戦闘員とその家族は、もともと資源が限られたコミュニティに再統合されるので、受け入れコミュニティとの間に緊張状態が生まれることが少なくありません。このような緊張を和らげるには、元戦闘員個人の適応能力を高めるだけでなく、コミュニティの受け入れ能力も高める必要があります。元戦闘員の社会復帰は、同様の支援をコミュニティの他の住人にも実施することで成功の可能性が高まります。

IOMはDDRのうち、武装解除(Disarmament)には関わっていませんが、動員解除(Demobilization)と社会復帰(Reintegration)のフェーズで活動しています。プログラム終了時には、元戦闘員を支援する技術とサービスを、政府やNGOなどに適切に引き継ぐための出口戦略も重視しています。

活動内容

1.情報、カウンセリング、紹介サービス
 (ICRS Information, Counseling and Referral Service)

  • 元戦闘員の登録
    カウンセリングなどを通じて対象となる元戦闘員一人ひとりに社会復帰のプロセスを伝えると同時に、元戦闘員の技能などのプロフィールを収集します。これにより元戦闘員のニーズを把握します。

モザンビーク
故郷への帰還前にIOMが元兵士を登録
適切な登録が社会統合成功のカギ
©IOM 1994 - MMZ0028

  • 雇用機会や地元サービスの調査
    地元経済、雇用に関する基本的な情報を集めます。インフォーマル・セクターでの自営業や小規模ビジネスに関する情報が特に重要です。就労のために必要な教育や技術を明らかにし、職業訓練の計画に反映させます。また元戦闘員に対して支援を提供できる公的機関・民間団体についての情報も収集します。

  • データベース構築
    上記で収集した元戦闘員のプロフィール、元戦闘員に対してサービスを提供することができる公的機関・民間団体の情報、地元の雇用や小規模ビジネスに関する情報のデータベースを構築します。


  • 元戦闘員への就職・支援サービス紹介
    カウンセリングに基づき、元戦闘員に適切な社会復帰のオプションを紹介します。この際、データベースの情報を活用します。就職の支援だけでなく、HIVエイズや麻薬などに関する保健サービス、法律相談、住宅補助、心のケアなどが受けられる機関を紹介します。

  • 支援物資パッケージの配布
    元戦闘員がカウンセリングを受けている時期には生活を支えるため、軍服の代わりとなる衣類、台所用品、食糧などのパッケージを配布します。現金を渡すこともあります。物資を配布する代わりに、元戦闘員を雇用して労働集約型のインフラ再建事業を行うこともあります。


ハイチ 元戦闘員を職業訓練プログラムに登録
©IOM 1995 - MHT0004

グアテマラ IOMチャーターのバスで故郷に
帰還する元戦闘員 © IOM 1997 - MGT0007<

2.社会復帰基金(RF Reintegration Fund)

情報、カウンセリング、紹介サービス(ICRS)は、「社会復帰基金」と呼ばれる小規模な資金提供と組み合わせて実施されます。既存の事業主やサービスの提供者を支援するとともに新規の起業を支援し、社会復帰の機会を拡大します。元戦闘員全員に提供されるのではなく、社会復帰の機会の拡大するために戦略的に適用されます。社会復帰基金には以下のような機会に提供されます。

  • 職業あっせんと実地研修(OJT)
    元戦闘員個人に対してだけでなく、雇用創出と訓練を目的として雇用主に資金が提供されることもあります。

アフガニスタン 元戦闘員のOJT ©IOM 2006

コロンビア
元戦闘員の若者を対象とした職業訓練
©Héctor Mauricio Moreno 2004 - MCO0027

  • 小規模ビジネスの起業と拡大
    元戦闘員が小規模事業の立ち上げや拡大を行う際に支援します。

  • ビジネススキルの研修
    元戦闘員それぞれのニーズに合わせた研修が提供されます。

  • 職業訓練
    公的機関との協力で実施。

  • 農業への復帰
    元戦闘員の多くが農村の出身であるため、農業に戻ることを希望する人を支援します。

  • 高等教育
    特に士官クラスの元戦闘員が、高等教育を受けるための奨学金を希望します。

3.元戦闘員とコミュニティへのアウトリーチ

元戦闘員やその雇用者、彼らが暮らすコミュニティへの訪問は、随時実施されます。現場できめ細やかな助言や情報提供がなされ、プログラム成功のカギとなる活動です。コミュニティ開発の専門家が、小規模ビジネスの立ち上げや拡大に際し、技術的な支援を行います。


4.キャパシティ・ビルディング
地域の公的機関やコミュニティのリーダーなど、全ての関係者のプログラムへの参加を促し、元戦闘員を支えることができるように支援します。既存の公的機関の職員をプログラムに組み込むなど、プログラム終了後の持続性にも留意しています。

過去の活動実績

1992-1996モザンビーク
1994-1996ハイチ
1994-1996
2005-2006
アンゴラ
1996-1997マリ
1996-1998グアテマラ
1998-1999フィリピン
1999-現在コソボ
1999-2001東ティモール
2000-2002
2005-2006
コンゴ共和国・
コンゴ民主共和国
2000-2002カンボジア
2001-現在ギニアビサウ
2001-現在コロンビア
2002-2004タジキスタン
2002-2004シエラレオネ
2002-現在ボスニア・ヘルツェゴビナ
2003-現在クロアチア
2004-現在アフガニスタンアフガニスタン政府の進めるDDR事業(Afghanistan New Beginnings Programme ANBP)の枠組みで、北部マザリシャリフ、西部ヘラートなどの17州で元戦闘員を支援
2005-現在インドネシア元独立アチェ運動(GAM)戦闘員3,000人と
恩赦を受けた元政治犯2,000人が対象。日本政府他の支援を受けて実施