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移民の保護とジェンダー 2006年8月 −移住と開発に関するハイレベル討議に向けて Vol.6 |
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移民は、言葉や習慣の違う社会で困難を乗り越えながら生きていかなければなりません。特に女性の場合、「外国人で、しかも女性」という二重に弱い立場に置かれているため、差別や搾取に遭いやすく特別な保護を必要としています。
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IOMの帰国支援を受けることになり安堵する レバノンで働いていたスリランカ出身の女性 © IOM 2006. Photo by Jean Philippe-Chauzy |
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"Feminization of migration"というのは、1990年代以降顕著になってきた女性移民の増加を示す表現としてしばしば移住問題に関する英語の文献に用いられています。もう少し正確に言えば、これは男性移民の扶養家族としてではなく、独立した移民労働者として移住する女性の増加のことを指しています。
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図らずもレバノン危機の進行に伴い、フィリピンやスリランカといった国々から中東に出稼ぎに来ている女性移民の境遇が新聞やテレビでも取り上げられていますが、そのほとんどがドメスティック・ヘルパーと呼ばれる住み込みの家庭内労働者で占められています。日本にも一昨年まで年間8万人ものフィリピン人女性が興行資格で入国してパブやクラブで働き、しかもその中に多数の人身取引被害者が含まれている実態が国内外で批判を受けました(注) 。家庭内労働や興行のような職業は、公的な監視の目が行き届きにくく、基本的人権の保障に困難が付きまといます
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レバノンから帰国したフィリピンの女性たち © IOM 2006. Photo by Angelo Jacinto |
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「人身取引」と呼ばれる人権侵害を受ける人たちの問題は特に深刻です。性的な搾取を受けることが多い女性の場合、人身取引によって身の自由を奪われるだけでなく、暴力や感染症などのせいで生命の危険にさらされることが少なくありません。2000年に「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人、特に女性及び児童の取引を防止し、抑止し及び処罰するための議定書」(人身取引議定書)が採択されたのを受けて、加害者の処罰と被害者の保護を強化するための法制度の見直しや行動計画作りが各国で進んでいます。IOMは人身取引被害者の出身国と受け入れ国の双方で、被害者の保護、防止、加害者の訴追を柱とする包括的な人身取引対策を実施しています。日本でも昨年5月から政府機関やNGOと協力して被害者の自主的帰還と帰国後の社会復帰を支援しています
その一方で女性の移住には、家庭や出身コミュニティーにおける独立した稼ぎ手としての地位の向上という側面もあります。元々本国で十分な収入を得る機会が不足していることが移住の背景となっていることを考慮すれば、人身取引や不正規移住対策と並行して、正規のルートによる女性移民の保護を強化することが現実的な対応と言えます。特に、移住に至るプロセスで、女性の移住希望者が、雇用条件などに関する正確な情報に基づく意思決定を行い、出国前のオリエンテーションで受入国の法律、雇用、社会保障制度、文化、移民の権利と義務、トラブルに遭ったときの対処法などに関する十分な研修を受けてから移住することが極めて重要です。
移住の可能性はあくまで選択肢の一つとして個人に提示されるべきものです。「家族のために止むに止まれず」といった自己犠牲のような形で行われる移住は、本当の意味で自発的な選択とは言えないでしょう。特に女性の場合、社会的性差(ジェンダー)の観点から、社会経済的な自立(エンパワメント)を促す支援を進めることが、意思決定の主体性を保障することにつながります。
国際社会が2015年までに達成することを公約している「ミレニアム開発目標」にうたわれている「貧困削減」や「女性の地位向上」といった課題は、以上のような移民の保護の問題と密接に結び付いています。NGO、政府、国際機関などこの問題に関心を持つ団体や個人がそれぞれの立場から行動を起こしていくことが重要なのです。
(注)日本政府は2005年2月に法務省令の改正を行い、興行の在留資格の上陸許可基準の厳格化を実施した。
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関連サイトの情報
- 今年5月ニューヨークで、国連人口基金(UNFPA)との共催で行った「女性移民に関するワークショップ」 詳細→
- 今年6月ニューヨークで、国連訓練調査研究所(UNITAR)と国連人口基金(UNFPA)との共催で行った「移住と人権に関するワークショップ」 詳細→
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